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2020/05/19 16:08

BERRYブランドを立ち上げ、国内・東南アジアにまで展開している宮澤さんの想う、”世界にもっと、しあわせに気付く瞬間”とは何かを取材をしました。

BERRYができるまでにしていたことと、農と出会ったきっかけ


ー早速ですが、よろしくお願いします。まずは、2017年設立するまではどんなことをされていたのですか。

僕自身は、クリエイティブ制作を含め、事業開発・ブランディングを丸っと行うデザインファームという業態の会社をしていました。事業の0→1をいろんな会社と一緒にやったり、プロモーションの支援をやったり、という感じです。

ー農業を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

もともと、食には結構関わっていたんですよ。実家の家業がエキス屋で、タレやソースを作ったりとか、野菜ジュースの中のチンゲンサイエキスなどをうちから出したりとか。

ーチンゲンサイ。また、レアな感じですね。

他にも、学生時代は京料理屋でアルバイトさせてもらったり、カナダで飲食店のを立ち上げをしたり、畜産ベンチャーの共同創業メンバーとして仕事をさせてもらったり。そんな感じで食にはもともと関わりがあって。

そんな中、今の会社の共同創業者2人と出会いがあって、「苺」というものに大きな魅力と可能性を感じて事業を始めることになりました。

苺は、人と自然が創る芸術だ。



ー宮澤さんのことを調べてる中で、「苺は、人と自然が創る芸術だ。」というコンセプトがありました。とても気になるところです。

ちょっと語弊があるかもしれないんですけど、今まで僕は農業生産の現場って結構、なんていうんでしょう、のんびりというかロジカルではないんだろうなと思っていたんです。
でも事業を始める頃にいろんな生産者さんを訪ねて話していると、土とか作物の葉の状態を見ながら当たり前のように化学式が飛び交うんですよ。

ーええ、そうなんですね。すごい!

窒素がなんだリン酸がなんだ、これがこう化合してなんだみたいな。あれ?コレやばいなと思って…。一般の人が知らないだけでめちゃくちゃ科学しているんだと思ったんですよね。化学的な知識も植物の生理学も、気候も経験値も足し合わせて、それで、でき上がってくるものは「幸せの象徴」みたいな感じで、ケーキの上に乗っていたりとか、多くの人にとっていい思い出と紐づいた食べ物ができ上がっていって、なんかそこにはすごくこう…なんていうんだろうな。クリエイティブとしての魅力みたいなところを感じた時になんか…すごい大袈裟なんですけど、レオナルド・ダ・ヴィンチ的な格好良さを感じて(笑)

ーああ(笑)

アートと科学みたいな。

ーおそらく一生残るものですしね。

そうです。すごく感覚的に作るのではなくて、ちゃんと科学に裏打ちされて感動を届けるということがすごいなと思って、このコンセプトコピーに表現しました。
それだけ魅力があるものなんですけど、例えば海外のマーケットシェアを取りきれていなかったりとか。国全体としてまだまだできていないことがたくさんあるなと思った時に、それはたぶん僕が今までやってきた仕事、ノウハウみたいなとこはもしかしたら全体的に寄与できるかもしれないと思って。

いちごを通じて世界へ


ー先ほど、外国の話が出たのですが、いちごって世界的にも共通言語みたいな気がしますね。特にお菓子がそうですけど、お菓子の主役であるというか、不動だなという感じがしますよね。そのぐらい人を虜にしてしまういちごってなんなんですかね。

そうなんですよね。たぶん、日本独特なものはあると思うんですよ。ショートケーキが日本発祥だったりとか。日本のいちごだけストロベリーと違う育て方をするので、そういう意味で言うと、もしかしたら日本の食文化の中でのいちごは、かなり特殊なんじゃないかなとも思うんですよね。

ー確かに、ショートケーキは日本のものですもんね。

そうそうそう。直近で畜産もしてたので、和牛の難しさみたいな、もどかしさ、面白さみたいなのも感じていて…。そこでの失敗もそうだし、そこで成功していることもそうだし。なんかいちごももっとできることがあるなと思って。

yolozとの出会いと、すでにあった”旅するチーズケーキ”の原案


ー片山とかyolozの出会いっていつ・どこであったのですか?

出会いはそうですね…TUMMYの阿部成美さんに誘ってもらって、ハーブティー屋さんの吉村知樹さんが始められた「農産物ブランディング部」っていうコミュニティに入ったんです。その流れで、阿部さん、吉村さん、AGRISMILEの中道貴也さんら5-6人で飲み会があって、そこが片山さんとの出会いでした。確か去年あたりだったと思います。そこに来ていたメンバーは全員仲が良くて。それこそそこにいたみんなと仕事させてもらってるんですけど、そういう感じで、結構コアな感じで集まったので、そう片山さんともすごく仲良くなって一瞬で。

ー旅するチーズケーキの話、最初はどうでした?なんかこう話を聞いてみて。もともと一緒にやってたんですか?

そうなんですよ。チーズケーキやりますってのだけ決まっていて、「やりましょう!」っていう感じだったんですよね。で片山さんとはフィーリングが合うので、そのなんか「やりましょう!OK」みたいなそんな感じで。

ーそれは去年の12月くらい?11月か12月くらいですよね。

たぶんそうだったかと。チーズケーキやりましょうってことだけ決まっていて、バレンタインは赤で、ホワイトデーは白でやりましょう。二連続でやりましょうってのだけ決まっていて、打ち合わせしながらどんなコンセプトにしようかみたいな話をしていて、なんかチーズケーキに想いを寄せるのっていいですよねみたいな感じで言っていて。
けっこう打ち合わせしながら旅するチーズケーキのコンセプトがバチっと固まったという感じで、一緒にノリノリで考えたみたいな感じでしたね。

ー合うのかなってところは、側からみていて感じていて、山崎さんが旅するシェフだとしたら、(宮澤さん)は旅する農家というかなんというか(笑)

(笑)ベタついてる感じではないですからね。

ーそう。海外、そういえばハワイも農園持っていたりとか…。

あ、それはハワイはまだ動いてはないんですよ。やろうとしているところで。

ーこれからなんですね。東南アジアにもBERRYブランドを展開しているところを見ていると、そういう垣根ののないビジネスをしているというか。改めてとても良い座組だなと感じております。

嬉しいです。

“旅するチーズケーキ”での宮澤さんと消費者さんの想い


ー(同封の)ハガキとかはどうでしたか?反響というか。

ハガキもすごく嬉しくて。僕ら生産特化のチームではなく、販売までしているチームなので、割とお客さまの声は届くんですよ。そういう意味だと「初めてお客さんの声が聞けて嬉しかったです」という感動は実はなかったんです。
ただ、手紙が来るところだったりとか、そもそもの料理されたものへの感想が届く。想いが乗っている感じがすごく嬉しかったですし、僕らが作ったいちごを直接食べてもらうのではなくて。僕らのいちごを使って、さらに美味しいものに加工されたものを食べてくれた方の感想が、手書きで届くみたいな。しかもパッとチャットやメールで送るということではなくて、手紙出すのって本当に面倒臭いじゃないですか。

ーそうですね。手書きだしそもそもポストまで届けに行くこととか。

そうそうそう。その超めんどくさいことをしてくれて、しかもびっしり手紙書いてくれたり、みたいな。それはすごく嬉しかったですね。

ー一部Twitterにあげてる写真ちょっとみたんですけど、結婚式の招待状の返信はがきのように、上からさらに絵とか書いている感じとか。

そうそうそう。絵を描いてくれたりとか。投函するだけでも、なんなら感想、レビューのコメントするとかだけでも面倒臭いし、このめちゃくちゃみんな忙しい時代にわざわざああやって手紙書いてくれて、びっしりメッセージも考えてくれて。投函してくれてみたいな。そういうとこはすごく嬉しいですよね。

ー我々としても思っていたのは、オンラインでできる経験は一瞬で終わってしまうので極力オフラインで行って体験していくということは、改めて必要な時代だなと思っていて。可処分時間の奪い合いみたいなことを、マーケティングの中で言われていますけど。そうではなくて、どう本人に時間を充実して楽しんでもらうかっていう話で。なんかそれに尽きるのかな、なんて個人的には良かったのかなと思っています。

本当良かったですね。さらになんですけど、この一緒に作ってる感が良かったですね。何より。一緒に計画して届けたものがっていう。そのCo-creation感もすごく良くて。そこまで含めてすごく良かったですね。


ーちなみに、今回はお客様の想いをのせてというか、想いをこちらから届けるということだったのですが、宮澤さんからどんな想いを届けたのでしょうか?

僕たちは事業のミッションとして、「世界にもっと、しあわせに気付く瞬間を。」という言葉を掲げています。苺の事業を始めた目的の1つでもあります。

先程も話した通り、苺はコンテンツとしてすごく素晴らしいものがあって。何が素晴らしいかって、幸せな時間というか、身近なところに幸せってあるんだなという、そこに注意を向ける、そういう媒介としてすごく強いなと思っていて。それを成し遂げられる事業がこのいちごという事業だなと思ってやっているところが、実は一番強くてですね。

だから本当に届けたかったメッセージはそこですね。幸せに気づく瞬間、なんかそのお手伝いができたらすごく嬉しいなと思って、そういうところが僕らが届けたかったメッセージかなと。実際に届いた手紙の中にも、「娘が私のお皿から奪って食べちゃいました」とか…すごく尊い時間だなと思うんですよ。

僕らが乗せているのはそういう想いです。

BERRYの旅する未来とは


ーBERRYは東南アジアを中心にグローバル展開していると思うんですけど実際、その先も旅することでどんな未来になりそうですか?

そうですね、創業の時の想いと、なんでいちご始めたの?というところとかなり近いんですけど、3つくらい理由があって、いちごがコンテンツとして魅力的なことと、もう一つがさっきの芸術みたいなところとかぶるんですけど、いちごを美味しく作るのってけっこうテクノロジー化が難しいんですよ。テクノロジーはもちろん必要で、僕らも導入するんですけど、どうしても職人技が残るところなんですよね。これは手じゃないと無理だなとか、これは人間の目じゃないと無理だとか、この工程では機械化ができないなとか。そう言ったところがすごく残っていて超面倒臭いんですよ、いちごは。

大量に作る先進国、アメリカとかすごく機械化されたいちごのマシンとかが出てきているんですけど、それは日本のいちごには通用しないんですよね、現状。それが雇用を作るみたいな文脈とすごく相性がいいなというのがひとつ、創業の思いとしてあって。

なので、今も福祉の施設と連携したりしてしてるんですけど、佐藤さん(筆者)とか僕とか、いわゆる都会のビジネスマンで良しとされる強みとそうじゃない強みもたくさん世の中にはあって、そういう雇用も作っていけるんじゃないかなってのが、創業の思いのうちの2つ目としてありますね。

3つ目は、1つ目と2つ目もかけ合わせてなんですけど、うまいいちごを作り続けられる「仕組み」を作るのが僕の1番の仕事だなと思ってるんですよ。うまさを追い続ける、再投資し続ける。そこがちゃんとビジネスに還元される仕組みは作りたいし、たぶんそれがわざわざ、僕みたいな農業の現場だと超戦力外なやつが農業の会社をやる理由かなと思っていて。

要は、ちゃんと美味しくしたからとか、美味しく感動してもらえる仕組みを作ったことがちゃんと評価されるビジネスをする、そうするともっと美味しいのを作ろうという風になるじゃないですか。ちゃんとR&Dする理由になるというか。
モノをちゃんと全国に行き渡らせたり、みんながそこそこ美味しいものを食べるには向いているんですけど。バリバリ嗜好品の最先端の超おいしい食べ物を食べるためにはむいていない仕組みだなと僕は思っていて。

だから、僕らのつくる苺は、もう超嗜好品で全然いいので、新しい技術を作っていくとか、新しいおいしさを作っていくみたいな、それをやり続けられるような事業の仕組みを作りたいと思っているんです。
ーつ目は特にyolozと近いかなと思っていて、物語までうまいをビジョンとして。色々と今後も一緒にできるんじゃないかなっ思ってますね。

さっきの質問に戻って、東南アジアの云々ってところでいくと、うまいいちごを作り続ける仕組みというのももちろん、同じようにもっとうまいいちごをどれだけたくさんの人に食べたもらえるかっていう話と被っていると思っていて。東南アジアはもちろんですけど、その他のエリアでの生産や販売も広めていくというのが、広げるのも深くするのもどっちもっていう感じなんですけど。どっちもやっていきたいなとは思っています。


ーいや、本当に僕よく海外よく行く人間なんでそこでBERRYがあったらなあって。・・・

あぁそうなんですね、そうなんですよ。スペインとか生産量めっちゃ量多いんで。

ーなるほど。

でも、やっぱりうまいんですよね日本のいちごは。

ーうん、格段に美味しいと思います。

日本のいちごはうまいし、日本のいちごの中でも僕らのいちごはめちゃくちゃうまいと思ってるんですけど。

ー海外ってどんな感じですか?けっこうあるのかな?スーパーよく行くんですけど、いちごが並んでるところってあまり見ない気がしますね。

そう、アメリカとかだとでかい箱にバコンと入れて売ってますね。だいぶ大味な感じであまりおいしくはないですね。

ーなるほど、個人的に本当に世界に広がって欲しいですし。

ありがとうございます。



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